2012年12月8日土曜日

愛は地球を救う、なんて嘘よりも

煙草を吸うのはカッコいい。そんな時代は終わった。

煙草を取り巻く状況は年々厳しくなっており、喫煙者たちは日々世界の片隅へ追いやられている。この傾向は他の国(特に先進国)でも変わらない。フランスでは今年10月、煙草の値段が7.6%引き上げられたばかりだ。
(フランスにおける煙草1箱の値段の変遷についてはこのサイトを参照。約20年で煙草の値段は4倍以上に引き上げられている。URL: http://www.tarif-tabac.com/statistiques_tabac

私は煙草を吸わないが、現代の嫌煙ブーム、ひいては健康志向は少し行き過ぎている、と思わないでもない。煙草を吸う人、吸わない人それぞれがお互いに配慮し、快適に過ごすことができれば、これ以上公共の場から喫煙スペースを減らし、愛煙家に肩身の狭い思いをさせる必要もないだろう。

身体に悪い?そんな考えはドブに捨ててしまおう。毎年煙草の害で亡くなる以上に多くの人が、自ら命を断っている。もし自殺を決意した一人の男が、最後に吸った一本の煙草でその決断を翻すのなら、それはどんな薬よりも有用ではないか?

こんな意見をオーストラリアで表明しようものなら、異端尋問にかけられるかもしれない。同国では先日、「すべての煙草のパッケージを同一のものとする」法律が施行された。

フランスのニュースサイトRFIによると、
une loi qui oblige dorénavant tous les paquets de cigarettes vendus en Australie à être identiques : c'est-à-dire dans un emballage d'une couleur vert olive sombre, recouvert d'avertissements sur les dangers du tabac, avec des photos chocs de malades. Et ce, quelle que soit la marque, car seul le nom des cigarettes pourra changer.
オーストラリアで販売されるすべての煙草は同一のパッケージでなければならない。暗いオリーブグリーンをベースに、喫煙の危険性を警告した文章、肺がん患者のショッキングな写真つき。唯一ブランド名だけが変更可能…というもの。

まったく、喫煙者でなくとも「どうかしてるぜ!」と言いたくなるだろう。君が昨日買った豚肉に、その豚の成長過程の写真や趣味・特技が書かれていたら、あまりいい気はしないだろう。誰だってそうだ。私だってそうだ。

巷では喫煙者にとって嫌なニュースばかりが流れ、白眼視され、精神的に追い詰められ、ひいては死に至る、なんてことのないように、私が処方箋を用意しよう。

メキシコの研究者が発表したところによると、鳥たちは煙草の吸殻を巣作りの材料にしているらしい。吸い殻が鳥のヒナたちを害虫から守るからだという。これは煙草に含まれるニコチンが蚤や虱に対し効果があるからで、スズメのように市街地に住む鳥がよく使用している。もとよりある種の鳥たちは芳香性のある素材を好んでいたようで、吸い殻は殺虫剤の一種として鳥たちの間で知られていた。

これを読んでよし、"Fumer sauve les oiseaux / 喫煙は鳥たちを救う" を煙草のパッケージにしよう、と考えたのはどうやら私だけではないらしく、すぐ後に研究者自身、「スズメを救うために肺をダメにするには及ばない」と断言している。

しかしながらこの研究報告による限り、愛よりも吸い殻のほうが間違いなく鳥たちを救っているわけで、このニュースを喫煙者が読めば、多少は心安らかに煙草を吸うことができるのではないだろうか。調子に乗って、オーストラリアの法律に対抗して、上記のスローガンと一緒にスズメの写真を配した煙草ケースを販売してはどうだろう?あるいは喫煙所の目印として、鳥の巣を模したものを採用するのはどうだ?――どうも今の日本では顰蹙をかうだけで終わりそうだ。

喫煙を擁護することはもはやタブーのようになっているが、それでもこういったユーモア、寛大さこそが、喫煙者と被喫煙者がお互い気持良く生きていくための、最上の解決策だと思うのですが、どうでしょうかね?

Au revoir et à bientôt !
最近スズメってあまり見なくなりましたよね?これも禁煙の影響?――それは、言い過ぎ。
 


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