2013年3月10日日曜日

はなくそまんきんたんに見る地方性

以前に「はなくそまんきんたん」は物事を始める魔法の言葉だ、と書いたが、どうやらその魔法は地方限定のようだ。

ブロガーにはトラフィック機能がある。拙ブログに来てくれた奇特な方々が、どのような言葉を検索したかわかる便利な機能だ。

この一週間、少なからぬ人が「はなくそまんきんたん」の検索結果として、拙ブログを訪問してくれていた。そこを遡っていくと、そこには「はなくそまんきんたん 宮崎弁」という、思いもよらぬ結果が表示されていた。

調べた結果、「はなくそまんきんたん」と「だるまさんがころんだ」の代わりとして使用するのが宮崎弁、ということだ。

そもそも「だるまさんがころんだ」には地方性がかなりあって、「インド人の黒ん坊」「インディアンのふんどし」といった、かなりきわどいものまで含まれている。「はなくそまんきんたん」もその変種だと考えることができる。

一度情報を整理してみよう。そもそも「はなくそまんきんたん」とは、正確には「鼻くそ丸めて万金丹薬に対する不信感を表明する諺とされている。
んで、その諺のもととなっているのが、
「越中富山の反魂丹 鼻くそ丸めて万金丹 それを飲むやつあんぽんたん」
の歌である。

問題は、どのようにしてその歌、言葉が全国に伝播したのか、ということだ。富山の薬売りが全国を行商して回ったのはよく知られているが、彼らが自らの売る薬を卑下する歌を歌いながら売り歩いていた、とは考えにくい。それはちょっとシニカルすぎて、売上の向上は見込めなかったろう。

…と思っていたのだが、どうやら間違いのようだ。

これだけ全国に広まっている理由は、富山の薬売りが歌い歩いたからに違いない。それは間違いではないが、問題は反魂丹と万金丹の区別だろう。

反魂丹は腹痛によく効く富山の名薬として、昔から広くその名を知られていた。一方、万金丹はといえば、こちらは和歌山、伊勢のほうで売られていた後発商品、つまりは二番煎じ、似て非なるものなのだ。「白い恋人」と「面白い恋人」の関係、といえばわかりやすいだろうか。そりゃあ、白い恋人側が怒るのも当然さ。

つまるところ、富山の薬売りは自らの薬の効果を宣伝しつつ、ライバルの薬の効果をけなす、そのような歌を歌って全国を回っていたわけだ。そもそも富山の薬売りは別名「反魂丹売り」とも呼ばれていたようだ。

とはいえ、謎は未だ残る。なぜこれだけ各地に広まった言葉が、宮崎においてだけ「だるまさんがころんだ」と結びあわされることとなったのか。そもそもそれが宮崎に限ることなのか、それすらわかっていない。

はなくそまんきんたんの深淵は、どうやらまだまだ深そうだ。

Au revoir et à bientôt !
フランス最大の地方都市、リヨン
 

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